『ツナグ』

先週に引き続き、今週は『ツナグ』を見てきました。
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主役の松坂桃李くん、今までそんなに好きではありませんでしたが、
梅ちゃん先生を毎日見続けた影響で、けっこう好きな俳優くんになりました。

梅ちゃん~では、すでに2児の父親役でしたが、
この映画では「高校生」役。
顔も、かもしだすオーラも、やっぱり高校生役の方が似合ってるね。
良い意味で。
で、彼の実年齢はいくつなんでしょう?(笑)

今回の映画の中で、松坂くんのお祖母ちゃん(アイ子)役の樹木希林さん提案で、
ヘルマン・ホイヴェルス神父とやらの「最上のわざ」という詩が、
随所に(エンドロール中には通しで樹木希林さんが朗読もしてくれてる!)使われているのですが、
それがとっても印象的で、心に残りました。

あらすじを知りたくない人でも、
コレだけは事前に知っておいて映画を見るのはアリだと思います。

 
 この世の最上のわざは何?

 楽しい心で年をとり、
 働きたいけれども休み、
 しゃべりたいけれども黙り、
 失望しそうなときに希望し、
 従順に、平静に、おのれの十字架をになう。

 若者が元気いっぱいで神の道を歩むのを見ても、ねたまず、
 人のために働くよりも、謙虚に人の世話になり、
 弱って、もはや人のために役だたずとも、親切で柔和であること。

 老いの重荷は神の賜物、
 古びた心に、これで最後のみがきをかける。

 まことのふるさとへ行くために。


ホントはまだ続きがあるそうですが、映画ではここまでが使われてます。
ね?
深いでしょ?

これを神妙に受け止められる人というのは、
きっと身体的にも精神的にも、若い頃のようにはいかず、
「ああ、年を取るってこういうことなんだ」
と、1度でも実感したことがある人でしょうね。

私は日々、あの頃は若かった…と思っているタイプなので、
神妙に受け止めましたよ。

話は変わりますが、この映画の見所は「泣く演技」だと思います。

注目は橋本愛ちゃんの「絶望泣き」と、樹木希林さんの「後悔泣き」です。
マイナスの感情を出しまくって泣くと、呼吸困難になりますよね。
あれを演技でやるのって、大変だと思うんですけど、
じつに見事に、「泣いて」いらっしゃいました。

当然見てるコチラもボロ泣きしました。

愛ちゃん、『another』では感情をあまり出さない少女の役だったけど、
今回は感情の起伏激しく、大活躍?でしたね。
これからが楽しみな女優さんだ(^-^)

ちなみにこの映画は、
「人生に1回だけ、亡くなった人に会えるとしたら、誰と会う?」
というお話です。

私は迷わずそらさんを呼んでもらいます。

え?人じゃないとダメ?
ケチー。



「ツナグ」とは。
たった1度だけ、死んだ人と会わせてくれる案内人。
生きている人が、「会いたい」と強く望む、すでに死んでしまった人との再会を仲介する、
「使者」を表す言葉。

ツナグの噂は都市伝説のようにまことしやかに伝わっていて、
たどり着けるかどうかは、その存在を知っているか、知って信じるかどうか、そこからの運。
と言われている。

“ツナグ”と呼ばれる使者の見習いをする高校生・歩美(松坂桃李)。
この”ツナグ”は家族代々受け継がれていくもので、
歩美もまた祖母(樹木希林)から”ツナグ”を受け継ごうとしている(両親はすでに他界)。

この映画は4つの話から成り立っていて、それぞれを少しずつ進めていきますが、
あらすじは分けてまとめて書かせていただきます。


1話。「親子」
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ガンで逝去した母(八千草薫)と会いたいという、畠田(遠藤憲一)に会う歩美。
会いたい理由は「土地を売却したいが、土地の権利書の場所がわからず知りたい」とのこと。

畠田はまだツナグに関して半信半疑で、
「詐欺か?おやじ狩りか?高校生のクセに何やってんだ?お前の親は知ってるのか?」
と、歩美に喰ってかかる。

ムッとしながらも、歩美は仕事なので、淡々と説明をする。

「依頼人が死者に会えるのは、生涯に一度、1人だけ」
「死者も、生者に会えるのは一度だけ。ただし死者からの依頼はできない」
「会えるのは月の出る夜。夜明けまでの限られた時間だけ」

畠田は了解する。
そして、畠田の母も、息子に会うことを了承する。
死者との交渉は、現ツナグである祖母アイ子がやっている。

指定されたホテルの一室で、母に再会する畠田。
母に会いたい本当の理由は、権利書の行方などではなかった。
ガンであることを母にも家族にも内緒にしていたことを、自分の息子に責められ、
実は自分自身もそれが本当に良い事だったのか、
病を知っていたら母は残りの人生を有意義に過ごせたのではないか、
それらに悩み、母に謝罪したいと思っていたのだ。

母はすべてお見通しだった。
「それはあなたの優しさでしょ。口は悪いし、頑固だけど、あんたは優しい子だから」
と、息子の手を取る。
温かい母の言葉が畠田を包む。
畠田は、お祖母ちゃんっ子だった息子と打ち解けられないことを母に打ち明ける。

「あの子はアンタのように押しは強くないけど、周りを上手くまとめることができる子だ。
あんたと同じ優しい子だ。遺伝子はちゃんと受け継がれているから大丈夫。」
と、励ます母。

夜が明けて、畠田はロビーで待っていた歩美に深く頭を下げてお礼を言う。
そして親は幼い頃に亡くなったという歩美に、名刺を渡し、
「何かあったら必ず力になるから電話をくれ」といって、去っていく。

自宅にて、相変わらず父を無視して外出しようとしている息子に、
畠田は「おばあちゃんのこと、すまなかったな」と声をかける。
息子は気まずそうな顔をしつつも、「行ってきます」とはにかむ。
仲直りの第一歩だった。

そして歩美は「ツナグはとても素敵な仕事だ」と祖母に言う。

ちなみにツナグの仕事は、アイ子が嫁に行く際、兄(仲代達矢)から譲られたもの。
ツナグにかかる費用(ホテルの部屋代とか)は、すべてアイ子の実家が負担してくれる。

2話。「親友」
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御園(大野いと)と嵐(橋本愛)は親友で、高校2年生、ともに演劇部。

意志が強く、負けず嫌い、クールな嵐と、温和で控えめ、おっとりな御園。
御園は歩美のことが好きで、何とか嵐に仲を取り持ってもらおうとしているが、
実は嵐も歩美のことが気になっている。

次の卒業公演の配役決めが行われた。
いつものように主役に立候補する嵐だったが、なんと御園も手を挙げた。

御園は母から、「やらなくて後悔するより、やって後悔した方が良い」と言われ、
ダメもとで立候補したのだった。
何の相談もなしに御園が主役に立候補したことで、裏切られた気分になった嵐。
さらに「どんなに頑張ってもワタシにはかなわないよ」と、
御園が他の部員とともに笑っているのを偶然通りすがりに聞いてしまい、
さらにオーディションで主役は御園に決まったことで、嵐は御園を憎み、
「御園さえいなければ」と思うようになる。

帰宅中、通学路にある民家の庭の水道のホースの前で足を止める嵐。
その日の朝、この水道の水が出っぱなしになっていて、
御園が水を止めながら、「寒くなったら凍って危険だよね」と言っていたのを思い出す。

御園が怪我でもすればいい、と水を出してその場を去る嵐。

翌日、御園は事故に合い亡くなってしまう。
あの水道から水を出したせいで、御園が自転車で転び事故に合ったのではと嵐は考える。
御園の葬儀で、彼女の母から、御園がいまわの際に「アラシ、どうして?」と言っていたと聞かされ、
嵐は「御園が自分が水を出して彼女を殺そうとしたことを知っているんだ」と思う。
皆が自分を人殺しと罵る夢を見た嵐は、ツナグに頼んで御園に会おうとする。

御園がツナグによって他の誰かに会い、「嵐に殺された」と言ってしまったら、
私の人生は終わりだ、その前に御園に会って、このことが誰にもバレないようにしなくては。
嵐はそう考えていた。

待ち合わせの場所に現れたのは、歩美だった。(電話を取ったのはアイ子)

驚いた嵐はどぎまぎし、「歩美くんのコートってジュンヤワタナベだよね!」
「私、ギャルソンはカワクボレイの方が好きなんだけど、ジュンヤワタナベも良いね」
と、切りだす。
「よく知ってるね」と感心され、照れる嵐。
しかし、このセリフは生前、御園が言っていた言葉の受け売りで、
嵐はファッションのことは全然詳しくなかった。

アイ子の交渉の結果、御園も嵐に会うことを了承。
そして再会の夜。
「やらなくて後悔するより、やって後悔する方がましだ」の言葉を胸に、
嵐は御園の待つ部屋へ。

再会した御園は、事故のコトには触れず、嵐との楽しい思い出ばかりを語る。
それを見た嵐は「御園は何も知らない。ここで罪を告白し謝罪すれば、
御園の中の親友の思い出を汚すことになる」と躊躇してしまい、
涙ながらに謝るものの、「なぜ謝るの?」という御園の問いには答えられない。

結局そのまま別れることになり、別れ際、御園は嵐に、
「歩美くんに私に伝言がないか聞いて。」と伝える。
「もしあれば、いつか、必ず私に教えてね。また、いつか。」と。

親友との優しい時間を過ごし、すっかり落ち着いた嵐。
ロビーで待っていた歩美に、御園が伝言がないかって言ってたけど?と尋ねると。
「ああ、『道は凍っていなかったよ』って、御園さんが言ってた。」と歩美。

一気に現実に引き戻された嵐。
「御園は私の罪を知っていた!知りながら、笑顔で楽しい思い出話をし、
私が罪の告白をするのを待っていた。それなのに私は、ちゃんと謝罪さえしなかった!
しかも御園は、それを見越して、あらかじめ歩美くんに伝言まで残していた!」
「謝らないと!!」エレベーターに駆け出す嵐。
「ダメだよ嵐さん、1回だけって言う決まりなんだから!」必死に引きとめる歩美。
泣き叫ぶ嵐、必死に押さえ続ける歩美、白々と明けてゆく空。

嵐が来る前、ホテルの部屋で歩美は御園に会っていた。
ツナグが秘かに想いを寄せていた歩美だったことを知り、はしゃぐ御園。
「歩美くんのコートってジュンヤワタナベだよね!」
「私、ギャルソンはカワクボレイの方が好きなんだけど、ジュンヤワタナベも良いよね」
と、以前から思っていたことを告げると、
「さすが親友、同じこと言うんだね」と歩。
自分が話した時には興味がなさそうだったクセに、私が死んだあと、
私のセリフをそっくりそのまま、自分がそう思っていたかのように、憧れの歩美くんに言うなんて。
ショックを受けた御園は、例の伝言を歩美に託すのだった。

泣き崩れる嵐。
自分の犯した罪の重さに加え、再び与えられたチャンスさえ生かせなかったという思いが、
彼女を一生苦しめる。
そして歩美も、嵐が何をそんなに苦しんでいるのか分らなくても、
「ツナグ」という仕事が人を幸せにするばかりではないことを思い知り、
本当に必要な仕事なのか、このまま後を継ぐ事に悩み始める。

3話。「恋人」
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そんな時にアイ子は、病院で会った土谷(佐藤隆太)の依頼を受ける。
7年前、プロポーズの直後に疾走した恋人(桐谷美玲)と会いたいという依頼だった。
どこかで生きているのならそれでいい、でももし死んでいるのならひとめ会いたいという男。
アイ子が探しだした恋人:キラリは、名前も年齢も出身地も、
全てうそだったということを知ったら、自分を7年も忘れずにいた彼を失望させるのではないか、
このままの方が良いのではないかと悩むも、会うことで忘れられても良い、
彼には前に進んでほしいから、と会うことを了承する。

しかし約束の時間になっても土谷はホテルに現れない。
歩美が焦ってアイ子に相談すると、「近くまでは来ているはずだ」と言われる。
雨の中、走って土谷を探す歩美。

駅前まで来たところで、帰宅途中の嵐と出会う。
嵐は「よかったら見にきて」と卒業公演のチラシを歩美に手渡し、傘も手渡す。
バスに乗ろうとしている嵐に、歩美は「御園さんに会ったこと、後悔してる?」と尋ねるが、
嵐は「会ったことは、後悔していない」と告げる。

引き続き土谷を探す歩美は、川のほとりで座り込んでいる土谷を発見。
そこは土谷がキラリにプロポーズをした場所だった。
「会うのが怖い」と尻込みする土谷に、「しっかりしろよオッサン!!」と説得する歩美。

雨も上がり、ようやく土谷とキラリは再会する。
自分の生い立ち、土谷との思い出、自分がどんなに幸せだったかを伝えるキラリ。
そして土谷もどんなに自分が彼女を愛していたかを伝える。
夜が開け、遺品を実家の母に届けてほしいと最後に言い残し、キラリは消える。
部屋に帰った土谷が遺品の箱を開けてみると、
その中には土谷とキラリが初めて一緒に映画を見た時のチケットの半券と、
その時食べたポップコーンの空き箱が、丁寧に保存されていたのだった。

遺品を持って土谷は、彼女の実家を訪ねる。
彼女の最後の願いを叶えるために。

そして歩美は嵐の卒業公演(演目は桜の園)へ。
御園が着るはずだった衣装を着て、御園がやるはずだった主役を演じる嵐。
過去を背負って、それでも生きてゆくという役柄と現実の嵐が重なり、
歩美も前に進む決心をする。

4話。「両親の死の真実」
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ある晴れた日、歩美とアイ子は2人で見晴らしの良い展望台へ。
歩美はツナグを継ごうと思うとアイ子に話す。
ツナグになってしまったら、もう自分が会いたい人には会えない。
今ならまだ間に合うが、両親に会っておかなくて良いのか?とアイ子は問う。

幼少期、ある日突然自分をおいて亡くなった両親に、会いたくないはずがない。
2人の死について、浮気をとがめられての無理心中だとか、
根も葉もない噂が飛び交っていたのを歩美も知っていた。

「お前の両親が死んだのは、私のせいだ」とアイ子は切りだす。
ずっと、話さなければと思いながら、話せずにいた…と。
それを遮って、歩美は「これは僕の想像でしかないけど」と話し始めた。
「お婆ちゃんはお父さんにツナグを譲ったんでしょ?
お父さんはお母さんに、そのことを秘密にしてた。だから…」

アイ子は嗚咽をこらえながら、歩美に何度も謝る。
「私がツナグのことは、誰にも話してはいけないって言ったんだ。」
「まさか、お前のお母さんが鏡を見てしまうなんて、思ってもいなかった」
「ちゃんと話しておけば、お前の大事なお父さんもお母さんも奪わずにすんだのに」

歩美はアイ子を責めなかった。
お父さんもお母さんも優しい人だったから、後悔なんてしてないし、
お祖母ちゃんのことを恨んでもいないよ、とアイ子を慰める。

そして歩美がツナグを継ぐ日が来た。
海辺にて、鏡の上で手を重ねるアイ子と歩美。

歩美は言う。
いつか、ツナグを誰かに譲ったら、新しいツナグにお祖母ちゃんに会わせてもらうよ。

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えー、泣き疲れて、後半はセリフがあやふや(笑)
まあ大きくはずれてはいないと思います。

っていうか、嵐の発狂に魅入られて、
土谷とキラリのエピソードが全然私の中に響いてこなかった。

でも、ツナグを継ぐかどうか迷う歩美が前向きになる大事なエピソードだから、
マジメに見ないといけなかったんだけどね(^^ゞ

それにしても、アイ子の作るご飯がとっても美味しそうで、
お祖母ちゃんと孫の2人暮らしっていう食卓ではなかった。
樹木希林さんが「シャレたお祖母ちゃん」だから、似合ってたけどさ。

桃李くんがちょいちょい見せる、「お祖母ちゃんを気遣う孫」演技が実に自然で、
もしト書きじゃなくて素でやってるとしたら、なんて良い子だろう(●^o^●)

ところで、土谷がビビって雨の中逃げて、
その間キラリが部屋でポツンと待ってるっていうシーンがありましたが、
ツナグルールでは「会えるのは月が出ている夜」でしたよね?

実際土谷がキラリに会う頃には雨は上がっていたので、ルールに反してはいないけど、
雨の間、キラリは1度消えてたってことでしょうか?

ま、そんな細かいコトは置いといて。

死者と再会するホテルの部屋は、とても温かい照明なのに、
夜が明けて、生きているものが歩むのは、太陽が出る前のまだ青白い街。

その「光」のギャップが、
「死んだ者と会おうとするのは生きている者のエゴ」というセリフと重なり、
なんだか寂しくなりました。

最後に一言。

この映画は、樹木希林さんと仲代達矢さんがいないと成り立たない。
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by kyonmo | 2012-10-24 23:59 | お芝居 | Trackback | Comments(2)

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Commented by ツナグはいい。 at 2012-11-12 15:29 x
原作では、月が見えていなくても会えるとあり、満月でない夜は会える時間が短くなると・・・・書いてありました。
Commented by kyonmo at 2012-11-13 00:30
>ツナグはいい。さん
情報ありがとうございます!
なるほど、月が見えていなくても会えるんですね。
満月でない夜は会える時間が短くなる…ということは、
満月の日に予約が殺到しそうですねえ。
新月とか細い三日月の夜は、会える時間はとても短いのでしょうか(T_T)