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訃報

友達の葬儀に出席しました。
高校時代、私のすべてを捧げた演劇部の、友達です。
彼は、本当に素晴らしい人で。
絶対にこんなに早く亡くなってはいけない人なのです。
死んでもいい人、というのは、この世にいないのかもしれませんが、
死んではいけない人に順位はある。
彼は、その「死んではいけない人ランキング」のベスト3に入る人でしょう。

天国があるのなら。
天国に神という存在がいるのなら。
きっと、そばに置きたいとワガママをいって、彼を召したのだ。

私の知っている「彼」という人間は、清らかで、温かく、
そばにいると、自分という人間がとても小さく思えてしまう存在。
彼がホントはどんなことを考えていたのか、誰も知らない。
彼にも醜い心はあったのかもしれない。
その清らかさにつけこまれ、不幸になったコトもあっただろう。
醜い私を、彼は最後まで見捨てることはなかった。

当時の私は、部長として、隙のない人間でいようと努力し、
誰かの失敗で足を引っ張られることのないよう、すべて自分独りで仕事をこなそうとし、
誰からも信頼され、頼られる人間であるために、
周りの誰をも、信用しようとしなかった。

そんな私の能力の限界を、救ってくれたのが彼でした。
彼は器用で、頭の回転も速く、人の気持ちを汲むことができる人。
その確実なシゴトのおかげで、私の負担はあっという間に半分になった。
背中を安心して任せられた。

社会に出て約5年、彼と会うことはなかったが、
5年ぶりに再会した、遺影の中の彼は、彼の笑顔は。
くもりのない…私が信じた頃のままの、笑顔だった。

自分が病気で苦しんでいたから。
人の痛みが解ったのか。
「平和で退屈な毎日を幸せと思えるコツは?」と聞かれたレナが、
「簡単だよ、気付くだけでいいんだから。この幸せな日々が有限だということに。」
と、応えていた。

彼は自分の命が長くないということを知っていたのだろうか。
この短すぎる生は、予定通りだったのか。
彼はいつから、短い生を、覚悟していたのか。

私は何も知らずに、いつでも会えるものだと信じて疑わず、
彼と語り合うチャンスを逃してきた。
後悔、先に立たず。
私は、忘れないでいたい。
彼が、この世に生きたという記憶を。

安らかに。
どうか、彼の眠りが安らかでありますように…。

by kyonmo | 2007-10-07 21:35 | お芝居 | Comments(0)